詭弁試用:学校のせいで詭弁が蔓延したよ編

お題:詭弁が蔓延しているのは学校のせいだという結論を詭弁で導く


「水伝」に代表されるように,似非科学の問題がブログ上で賑わいを見せている.似非科学の問題は「話し手が詭弁を使って自己正当化をはかっていること」と「聞き手がその詭弁に気付かずに騙されていること」の二つである.これら二つの問題を解決すれば似非科学の問題も解決するはずだが,そもそも何が詭弁であるかを理解できなければ「話し手」の方の規制は難しいだろう.そこで,ここでは「何故詭弁に気付けないのか」「どうやったら詭弁に気付くことができるか」の二点に絞って議論を進めていく.


なぜ我々は詭弁に気付けないのだろうか?詭弁を見抜く方法を教わらなかったから?確かにそれもあるだろう.しかし,一番大きな要因は詭弁が正当化されることに慣れてしまったからであろう.どこで慣れてしまったか?学校である.


以下に,詭弁でよく使われるパターン.通称「詭弁パターン」を挙げる.
・比喩:例え話で説明する
・最悪の状況設定:最悪の状況を想定して,どうすべきかを説明する
・部分からの一般化:一部分で正しいことを全体で正しいかのように言う
・ラベル張り:相手にマイナス印象のラベルを貼って否定する
・消去法:いくつかの選択肢が間違いであることを示して,自分の意見が正しいことを示す
・定義の違い:定義を定めないまま言葉を使って誤誘導する
・目標の正当化による手段の正当化:そのまま
・結果からの原因の決め付け:そのまま
・違う条件下での論理の適用:別の状況で正しいことを,さも今の状況でも正しいかのように言う
・検証不能:あとで好きなように言い訳できることで自己正当化する
・相殺:小さな問題で大きな問題を打ち消そうとする
これら全てが学校で使われているのである.詭弁に慣れてしまうのもさもありなんという感じだ.では,実際に一つずつ検証してみよう.


・比喩
例をあげるまでもないだろう.「りんごを3つとみかんを2つ合わせると?」のように学校では比喩を用いて勉強を教えることが多い.特に低学年で使われることが多く,それゆえに比喩に対する耐性は低くなってしまう.


・最悪の状況設定
「受験に失敗したら人生が台無しになる」「良い大学にいかないと人生は無意味だ」と言う教師が居る.親にまでこう言われて自殺した生徒の話も聞く.この詭弁はもはや人を死に追いやるほどのものだ.生徒の諸君は忘れないで欲しい.良い大学に行かせるのは君のためなどではなく,教師としての立場を上げるためなのだ,ということを.


・部分からの一般化
「数学と物理によって建物が建てられる」「英語ができると外国でも旅ができる」など,勉強には様々な利点があると強調される.だがちょっと考えればわかる.君は建物を建てたいのか?外国を旅行したいのか?確かにそれが夢だという人も居るだろう.だがそうでない人もかなり多いはずだ.何より君の夢の役に立たないならば意味がないではないか.


・ラベル張り
学校では勉強ができないことがさも悪であるかのように扱われる.走るのが遅い人も居る.絵が下手な人も居る.そのような人が馬鹿にされることは(悲しいことに)世の中には多いが,それを悪だとまで言う人は居ない.だが勉強はどうだろう.勉強ができないと「努力が足りない」とか「真面目にやれ」と言われる.勉強の能力だって走る能力や絵の能力と同じように個人差があるはずだ.それを認めないのが学校という場所なのだ.


・消去法
4択問題で3つが間違いなら残りが正しい.学校で直接習わなくとも,テストで苦労した人なら誰もが経験することではないだろうか.この詭弁は教師が使うのではなく,生徒が使ってしまうという点でたちが悪い.これは日本のテスト形式の問題でもある.以前CMで見たかたもいらっしゃると思うが,外国では自分で考える選択肢のない問題が一般的である.


・定義の違い
「学生なんだから服装をきちんとしろ」と言われたことはないだろうか.一見まともな理由に見えるが,「学生」というものは「学校で勉強をする人」という意味であり,服装をきちんとする人間のことではない.しかし,学校では教師が権力を振りかざし,このような乱暴な理屈を押し通しているのが現状だ.


・目標の正当化による手段の正当化
「無職になりたい」と思う人などいないだろう.最近ではニート問題などが取り沙汰されているが,多くの人は自分の夢を叶えたい,そうでなくても何かしらの職には就いておきたいと思っているだろう.しかし,「無職になりたくないだろ.だったら勉強しろ」という論理は間違っている.学校の勉強は実世界で役に立つことは少ない.1192年に鎌倉幕府ができたとして,それが仕事の何の役に立つというのか.多くの会社では新社員に対して研修が行われるということも,どれだけ学校の勉強が会社では役に立たないかを示しているだろう.


・結果からの原因の決め付け
「ゲームをすると頭が悪くなる」これは似非科学の一つ「ゲーム脳」でも使われる詭弁であり,学校だけでなく家庭でも使われる詭弁だ.結果だけ見て自分の都合の良いように原因を決めるというのは馬鹿げた手法であるが,学校に限らず幅広く使われているというのが悲しい現状だ.


・違う条件下での論理の適用
「アフリカでは食べるものもろくにない子供がいるんだ.給食は残さず食べろ.」と言う教師が居る.そういう子供が居るのは事実だが,はたしてそれは理屈として正しいのだろうか.給食は無料ではない.親が金を払っているのだ.つまり,レストランで注文しているのと同じことだ.だが,給食はこちらのオーダーを聞いているだろうか?味に気を使っているだろうか?前述の台詞を言う教師は「この世界にはゴキブリを食べる文化があります.だから今日の給食はゴキブリです.」と言われても給食を食べることができるのだろうか?


・検証不能
「頑張って勉強すれば君の夢も叶う」と無責任に言う教師が居る.この台詞があとからどうとでも言えるということにお気づきだろうか?夢が叶ったら「良く頑張った.私の言う通りだったろう」と言えば良いし,叶わなかったら「何故私の言うことを聞いてもっと頑張らなかった」と言えば良い.教師は良い大学に君を送ることさえできたらその先の君の末路などどうでも良いのだ,ということを忘れてはいけない.


・相殺
中学と高校の6年をかけて学校では英語を教える.だが,それで英語が喋れるのはごくわずかだろう.そんな役に立たないことを教えているにも関わらず,学校はそれを改善しようとしない.それどころか「大学受験には役に立つじゃないか」と開き直ることさえある.何のための勉強なのか.大学に行きさえすればそれで良いという学校の腐った姿勢はそろそろ見直されても良いのではないか.


長くなったが,確かに学校で詭弁が使われ,それが正当化されていることが確認できた.普段学校で勉強する時間だけでなく,給食の時間,さらには自分の時間であるはずのゲームの時間にまで学校の魔の手は伸びている.学校での詭弁の使われ方は尋常ではない.その生活が小・中・高の12年も続くのだ.詭弁に慣れないほうがどうかしているというものだろう.


では,どう対処すべきか.「日本から学校をなくす」ことを提言したい.もちろん,学校の代わりとなる機関は必要だ.そこでは将来役に立つ勉強,夢を叶えるための勉強を教える.そもそもかなりのお金と時間を払っているのに何も身に付かないのがおかしいのだ.そんな英会話教室があったらとっくの昔につぶれているだろう.給食費だけでなく,教科書代も払っているし,そもそも学校は税金で動かしているのだ.まぎれもなく我々がお金を払って受け取っているサービスなのだ.税金で無駄な建物が建てられることに怒るのと同様,学校のサービスの低品質さについても同様に怒るべきなのではないだろうか.


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そもそも,詭弁って「学習」を悪用したものだよなぁ,と思ったあたりからの連想.学習を実際に当てはめてるうちに,「これって学校でやるのと似てね?」と思ったので書いてみた.だから半分はマジ.真面目にやると怒りとか憎しみが先に来るので詭弁を使ってネタにしてみた.詭弁を使って書くと調べ物が少なく済んで楽だね.


あからさまに詭弁だとわかるのはつまらない.だから一般的になされるように,論理的な話と混ぜて正当化してみた.事実や相手の意見の捏造も入れてみた.本当のことも入れてみた.意外とそれっぽい作文に仕上がったのではないだろうか.


改めてみると詭弁パターン多いな.深層意識の方にインストールするから問題はないかとも思うけど.